学習環境と換気について
- Category:マドリヤ木工部 (マドモコ) ブログ
- Writer:相須 友昭
先月とある資格試験があり、実はここ数か月勉強をしていました。
しかし歳をとると根気が続かない、老眼で文字も見えない、と昔の様にはなかなか物が覚えられないものですね。
仕事部屋で勉強をしていてある時、なんか脳に酸素が足りていない感じ?といいますか、
なかなか頭がスッキリせず、ふと
『集中力が続かないのは換気が関係しているのではないか』
という考えがよぎりました。
さて、室内の換気といえば1時間あたり0.5回空気を入れ替えるという基準がありますが、
元々これはシックハウス症候群の対策のために設けられた建築基準法の規定です。
しかし昔にくらべれば建材に含まれる化学物質も減ってきていて、
空気環境の指標は二酸化炭素濃度での評価に主眼が置かれるようになってきているように思います。
自宅に日本住環境さんのダクト式3種換気を導入しているご縁もあり、
換気についての知見を高める目的で今年の春に二酸化炭素濃度計を提供していただきました。
近年の屋外の二酸化炭素濃度は概ね400ppm台といわれていますが
我が家に人がいないときのリビング内の濃度も概ね同じくらい。
家族3人で普通に過ごしている時は概ね800~900ppmまで濃度が上昇しますが、
リビングに人がいなくなると徐々に400ppm台に下がっていきます。
一般的に1000ppm以下に抑えるのが基準なので、計算通りに24時間換気が働いている証拠ですね。
(ちなみに1000ppmを超えたあたりから徐々に判断力や思考力に影響が出始めると言われています)
冒頭の話に戻りますが、仕事部屋での二酸化炭素量(≒酸素消費量)はどう変化するのか?気になって測ってみました。
(7畳ほどの広さで給気口が2か所、換気口が直接1か所ある部屋です)
まず仕事部屋に入った直後はリビングと同様に外気とほぼ同じですが、部屋にいるだけで徐々に600ppmあたりまで上がります。
仕事や勉強を始めると一気に900ppm前後まで上昇するのですが、
身体の中でも特に脳の酸素消費量はかなりの割合を占めていて、これは体を動かしていなくても計算や思考などを行だけで大きく酸素消費量が増えるという事なのかなと思います。
一度軽度の仕事をしている時に1100ppmを超えてしまった事があったのですが、別の部屋の窓が少し開いていて24時間換気が計画通りに働いていないのが原因でした。
つまり気密が低い住宅と同じような状況になっていた訳で、窓を締めたら元通り普段の数値に。
そしてピークは試験の模試を頭をフル回転している時で1200ppmを突破(写真は1100ppm台ですが)となりました。
書斎や勉強スペースが換気経路に含まれていない間取りをたまに見かけますので注意が必要ですね。
しかし部屋での過ごし方によってこれだけ数値の振れ幅があるとなると、余裕をもった換気計画をしたり、
手っ取り早く急ぎ換気が必要な場合には、窓を開けてしまうなどの対応も考えられますが、空調の熱負荷も大きくなりますし、
定量的な換気量ではなく、風量が状況により調整できるような換気システムがよいのか・・・どうなのか・・・
間取りや空調の考え方、メンテや費用面もあり一概にこれがベストとは言えない所で、今後も測定を続けながら検証を続けていきたいと思います。