漆喰塗りの内装に木製サッシ。住宅関係者の施主がこだわり抜いた住まい。
Q 家づくりをはじめた経緯について教えてください
以前は家族4人でマンションに住んでいました。広さは80㎡でしたが、少し閉塞感があったこと、そして仕事関係の変化や子どもたちが成長することなどを考え合わせ、もっと明るくて開放感のある家に住みたいと思うようになりました。
自分が住宅業界で働いていて、建築関係の勉強もしていたことから、家づくりには強いこだわりがありました。こちらの要望を柔軟に聞き入れて、デザインや施工に取り入れてくれる会社選びが重要だということは十分に理解していました。
一方で、多くのこだわりを実現しようとするとコストが予算内に収まるのか不安が生じます。特殊な建材やすべて造作で提案するのではなく、一般に流通している建材を上手に使いながら、住み心地のよい理想の空間を創出してくれる。そんな多彩なノウハウと実力を備えた会社を探すことを決意しました。
Q 当社を選んでいただいた決め手は何ですか?
さまざまな要望を受け入れて、柔軟に設計・施工を行うのは、大手ハウスメーカーではまず無理だろうと漠然と考えていました。一方で、いわいる「建築事務所・設計事務所」に依頼すると、建築家の作品を一方的に押し付けられる印象もあり、少々躊躇したのを覚えています。とはいえ、多くの設計事務所も検討しながら、こちらのイメージを伝えましたが、コスト面や考え方の相違などもあり、うまく話が進みませんでした。
そうした中で出会ったのが、マドリヤアーキテクツさんでした。同社は設計士の集団である「設計事務所」でありながら、敷居の高い印象はまったくありませんでした。プランについて柔軟に相談に対応してくれ、一定のスタイルを押し付けるようなことがありません。また、しつこく営業をかけられることもありませんでした。常に相談者である私たちの視点に立ち丁寧に対応してくれるので、この会社なら安心して任せられると直感しました。具体的には、難しい要望に対して「無理」と断るのではなく、どうすれば実現できるのかを粘り強く考えてくれること。時間はかかりましたが、マドリヤさんにめぐり合えて、本当によかったと実感しています。
家づくりは、土地探しからはじまりました。通勤や通学の利便性などを考慮すると、やはり都心に近いほうがよいということで、なるべく都心に近い土地を検討しました。都心に近いほど、スペースは狭く好条件の土地ではなくなりますが、住まいのプランニング次第で開放感のある家にできるのではないかと考えていました。だからこそ、柔軟に対応してくれる住宅会社を求めていました。
Q デザインでこだわったのはどの部分ですか?
マドリヤさんには、コンパクトでも開放感のある家にしたいと要望しました。その期待に応えてくれたのが広いLDKです。ダイニングは天井まで吹き抜けの大空間で、高さにすると実に4mほどもあります、ここでは、開放的な雰囲気を満喫しながら食事を楽しむことができます。
階段の途中に中2階のようなオープンスペースを設けたことも気に入っています。子ども部屋などは2階にありますが、個室まで直線的に向かうのではなく、中2階でちょっと立ち止まってコミュニケーションする機会もあります。ひと呼吸おける空間として、とても役立っています。室内の壁は漆喰の白い塗り壁なので、大きなスクリーンとして、ここに映像を投影して映画を見ることもできます。中2階の下部には収納を設置しました。ここは床下も掘り下げているので、高さもしっかり確保した使い勝手のよい収納になっています。
室内の床はオークの無垢材で、夏などは裸足で歩くのが心地よいですね。キッチンまわりには、経年で色合いが変化する板材を採用しました。施工後半年くらいですが、すでにあめ色に経年変化してきていて、これからさらに味わいが深まると思うと本当に楽しみです。インテリアのテーブルやテレビボードは以前から所有していた木製の造作でお気に入りの逸品でした。こうした家具が、漆喰の塗り壁と木製サッシを使った空間にマッチして違和感なく溶け込んでいるのがうれしいですね。
Q ご夫妻のご要望が実現したところを具体的に教えてください
体的に要望したことは3点あります。一つは、海外の木製サッシで気に入ったものがあったので、それを使いたいと伝えました。このサッシは基本的に蚊のいない北欧製のものだったので、網戸がついていないんです。家の周りは蚊が多い場所だったので、マドリヤさんに相談したところ、オリジナルの網戸を造作してくれました。柔軟性に富んだ対応が頼もしかったです。
もう一つは、ブラインドやサッシが室内側に出っ張っている状態が嫌いだったので、完成後をイメージしながら、内装の壁がフラットになるようにお願いしたこと。ブラインドやサッシを取りつけることを想定して、あらかじめ壁を厚く施工してくれたので、ブラインドを閉めた状態でも室内側への出っ張りが一切発生しないように仕上がっています。
最後の1点は、幅木を一切使用しないということ。一般的には、内装の壁と床、壁と天井などの接合面には幅木をつけ、接合面の収まりをきれいに見せます。これは、どこの住宅会社でも行っているごく当たり前の施工内容です。ただ私は、個人的に幅木は見栄えが悪くて嫌いでした。そこで、今回の家づくりでは使わないようにお願いしました。幅木を使わないと細部まで丁寧に仕上げなくてはならず、職人や設計の技術が試されます。私たちの要望は、オール漆喰塗りの内装だったので、特に高い技術がないと容易に受けられない仕様だったと思いますが、仕上がりは見事。美しい塗り壁に感服しました
Q 住み心地はいかがでしょうか?
以前住んでいたマンション(80㎡)と比べると、面積が極端に大きく広がったわけではないのですが、明るさや開放感は格段に向上しました。光や風が通り抜ける居心地のよい空間を実現していて、四季折々の自然とふれ合いながら暮らしている実感があります。1階と2階をつなぐ中2階の設置も見事なアイデアで、家族間のつながりが以前よりも強くなった気がしています。
このような開放感あふれる大空間ですが、気密・断熱性能にすぐれているため、10畳用のエアコン1台を稼働させるだけで家全体が快適です。盛夏は涼しく、これから迎える本格的な冬の季節も暖かく過ごすことができると思います。とくに夏は、室内にたっぷり使った自然素材が爽やかで心地よいですね。
コストもほぼ想定内に収まって大満足です。最終的にはわずかにオーバーしていますが、たくさんの要望を伝えてこだわり抜いてつくった家なので、この費用でよく収まったという印象です。マドリヤさんでなければ、コストとこだわりのバランスをこれほど高いレベルで実現することはできなかったでしょう。マドリヤさんと出会った私たちは、本当に幸運だったと実感しています。