照明もエアコンも最小限しか使わない 南と東に開いたパッシブハウス
Q 家族構成などについて教えてください
家族構成:夫40代、妻40代 長男7歳 長女5歳
土地探し期間:4~5カ月
家づくり期間:約1年
2024年3月竣工
木造2階建
1階(玄関、LDK、タタミスペース、洗面室、トイレ、パントリー、スタディコーナー、脱衣室、ランドリースペース、浴室、ファミリークローゼット)
2階(主寝室、子ども室×2、WIC、スタディスペース、納戸)
敷地面積:182.55㎡
延床面積: 96.05㎡
Q 家づくりをはじめたきっかけはなんですか?
「転勤で2度目の家づくりを決意しました」
ご主人様:もともと2階リビングの注文住宅を建てて住んでいましたが、なんだか暮らし方にフィットせず、住み心地が良くありませんでした。妻が転勤で職場が遠くなったこともあり、新たな場所で2度目の家づくりにチャレンジすることにしました。
Q マドリヤアーキテクツに依頼した決め手はなんですか?
「性能への意識の高さと誠実性に惹かれました」
ご主人様:YouTubeで家づくりについて勉強し始め、高性能の省エネ住宅に住みたいと思うようになりました。ある程度知識を付けて住宅展示場に行ったのですが、求めている家づくりとは違うと感じ、地域の工務店に当たり始めました。そこで、断熱性能の高い、結露しない家にしたいと話したところ、「結露はします」「断熱はそんなに要らないよ」とはじめから話を聞いてくれないような会社、造作の家具が得意で技術はあるのだけど、設計した家の南側に庇が一切なくて、残念ながらパッシブの意識が低いと感じた会社などがありました。
マドリヤさんは、当時、高性能の家を建てるモニターを募集していたのを見つけて、問い合わせをしました。パッシブハウス・ジャパンの賛助会員で、気密・断熱はありきで話をしてくれて、いい印象しかなかったですね。今とは違う土地で検討した時に、他社は土地を見ずに図面を出すなか、土地を見に行った上で、道を行くバスの乗客の目線を遮る建物配置を提案してくれ、信頼できると感じて依頼を決意しました。
Q 家づくりはどのように進みましたか?
「ディスカッションを重ねて納得の家になりました」
ご主人様:南側には交通量の少ない道路を挟んで公園があり、三方が道路という角地の土地を購入。まずは、朝ご飯を太陽光のもとで食べたいというのがありました。それから、カウンターキッチンがいい、ガス衣類乾燥機を置きたい、和室が欲しい、自然素材を使いたいといった要望を伝えました。打ち合わせのたびに我々がこうしたいというお題を出し、担当の山田さんとディスカッションを重ねながら進んでいった感じです。私の出身地の北海道・旭川市産のオークを床材に使うなど、柔軟に対応してもらえました。
1階LDKはダイニング上部が吹き抜けで、南と東に窓のあるとても明るい空間なりました。昼間にLDKは照明要らずで、夕方にようやく点けます。
2階の2つの子ども室には家具類を置きたくなくて、廊下にデスクコーナーをつくってもらいました。また、ダイニングの吹き抜けの上部にベッド代わりになるロフトを設けましたが、吹き抜けとの高さを丁寧に調整してもらい、高さに余裕のある使いやすいスペースになりました。
奥様:キッチンのシンクは、一段上がった一体型ポケットに食器用洗剤を置きたかったのですが、当時、既製品のキッチンシンクには見当たらなかったため、造作でつくることにしました。収納は全部扉付きと考えていたのですが、見学したお宅の造作キッチンが、鍋置き場だけオープンな網棚にしていてうちも採用しました。頻繁に使うものなので扉を開けるというひと手間がなく、濡れたままでも鍋をしまえてとても便利です。コストダウンにもなりました。これを踏まえて、造作の洗面台の一部もオープンにしています。オープンな部分があると面による圧迫感も減る気がします。
Q 竣工後一年半経って住み心地はいかがですか?
「太陽光のもと、気持ちよく朝食を食べています」
ご主人様:私は普段はリビングのソファにいるかキッチンでご飯をつくっていることが多いです。朝ご飯は家族そろって太陽光のもと、気持ちよく食べられています。断熱性能はとても良く、真冬でも朝の4~6時の2時間だけ暖房を入れれば、あとはなしで1日過ごせます。
要望していた和室は、スペースの都合でリビングの一角にある畳コーナーになりましたが、子どもの勉強や習い事の道具を仮置きする荷物置き場になっています。宿題も畳コーナーに面した造り付けのデスクで行います。オープンな空間なので、キッチンやダイニングにいる親が遠くから見守ることができて逆に良かったですね。
奥様:1階からも2階からも南の公園がよく見渡せるので、公園を庭代わりにして子供たちだけで安心して遊びに行かせられています。
片付けられる家にしたいというのもあって、ファミリークローゼットやウォークインクローゼット、納戸など大型の収納をはじめ、各所に収納をたくさん設けてもらいました。玄関の裏動線には、家族4人各自のオープンなロッカーがあるファミリーロッカーをつくりましたが、これがとても便利です。お出かけ用バッグ、塾のレッスンバッグ、野球バッグ、プール道具、ピアニカ、1回着てまだ着る服など、それぞれが置きたいものを置いています。
それから、家事コーナーではない私のデスクスペースが欲しくて、最終的にキッチン近くの階段下に設けました。壁で囲まれた半個室なので集中しやすい場所です。大事なものはここに置いて、子どもたちが起きる前の朝のひとときを、コーヒーを飲んだり日記を書いて過ごしています。