きほんのきのいえの家づくり「荻窪のきほんのきのいえ」①
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落合です。
きほんのきのいえでおつくりしてきた住まいの中でも、ホームページでしっかりとご紹介できていないものがありますし、普段どういうことを考えながら設計やお打ち合わせを進めているのかを含め、すこしずつご紹介していければと思います。
今回は「荻窪のきほんのきのいえ」です。6月にお引渡しをさせていただいた、
若いご夫婦の、将来の子育てを想定した住まいづくりです。
ご要望としては日当たりとリビングの広がりを重視されましたので、2階リビングでご提案しました。
1階を徹底的に機能を詰め詰めにして、2階をゆったり作れたらいいな、と当時は考えてプランをしました。

プランニングというものは、設計仲間と話をしていても、「描く」というより「解く」と表現することが多いです。与えられた条件から、連立方程式を解く、パズルを解く、というニュアンスですね。
この住まい「荻窪のきほんのきのいえ」のプランニングは階段の位置がこれを解くキーでした。
よくお客様から、
「落合さん、プランを描いてみたんだけど、階段が難しいんだよね~」
と言われることがあります。
そうそう、確かに難しいんですよ。
1階と2階貫通して空間を拘束する階段の位置は間違えるとどちらかの階で無理をすることになります。
好きなように部屋を配置してから階段を考える手順ではなかなか収まらないのです。
なので、
「あとあと空間の拘束が強くにならないように見通しを立てながら、階段の雰囲気を頭に思い浮かべながら階段を置いてみる」
というのがコツになります。
「階段の雰囲気」というのは「階段の在り方」とも言えます。
吹き抜けに面したオープンで開放的な階段もありますし、
壁でしっかり囲われた安心感のある階段もあります。
この「荻窪のきほんのきのいえ」では、
プランの中心に配置された背骨のような階段、というあり方になりました。
この階段は、
①2階からの光を1階の玄関に導く
②リビングへ向かうホールと、キッチンに隣接した書斎への動線の起点になる
③階段下の空間をくまなく利用し、収納とする。
④耐力壁を設け、構造上、水平構面を分割する耐力壁線を構成する。
というようにいろんな意味を持たせています。

そもそも、都市型の、特に狭小と呼ばれるようなサイズの住まいの場合(この荻窪のきほんのきのいえも70平米弱です)、かつコストをおさえたいような場合、それぞれの空間や部材が複数の目的や意味を持つことが重要になってきます。
安価な部材を使ったり、無理やり小さい部屋で作ったりすれば簡単に解決することができるのかもしれませんが、マドリヤとしては知恵と工夫で、質を損なわないようにしながら条件を成立させたい。プランを解きたいと思っています。
このあたりの考え方が「きほんのきのいえ」の使命というか、存在意義だと思います。
長くなりそうなので一旦、この辺りで。
落合