住宅設計者の傾向について(あるいは家づくりパートナーの選び方)
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代表の落合です。
ひとくちに「住宅を設計する人」といっても本当にいろんなタイプの人がいます。
住宅設計の人は本当に「懇親会」が大好きです。
プロ向けのセミナーの後には必ずと言っていいほど「懇親会」がワンセットになっています。(コロナ禍の現在はもちろん違いますが)
むしろ、セミナーは前菜で、「懇親会」がメインディッシュ、と言って憚らない人間もいます(私です)。
オンラインセミナーが主流になってしまった昨今は寂しい限りなのです。
話を戻します。こうした懇親会の席で設計の方とああでもないこうでもないと議論をするわけですが、役に立つことや役に立たないことをキャッチボールしている間に、「あ、この人はこういうタイプか」となんとなく分類するクセがついてしまいました。
下図の通りです。
「聞く耳がある、ない」を縦軸、
「主張が強い、弱い」を横軸とします。
②御用聞きタイプ
①はひとまず置いておいて、
②に分類されるタイプですが、話はよく聞いてくれるが本人からの主張は少ない設計者です。
お客様から見ると要望をもらさず聞いてくれる一方、提案が少ないと感じることがあるかもしれません。
一昔前の工務店によくいたタイプですね。
「注文住宅なのだから、注文を注文どおりに再現するべきだ」とお考えのお客様にはぴったりのタイプです。
大きなトラブルはなく、注文した住宅が注文した通りに出来上がることでしょう。
③量産住宅タイプ
③は、話も聞かないし、主張もしないというスタイルです。
大手ハウスメーカーもしくは規格住宅(企画住宅と同義)の設計者に多いタイプです。
設計者本人の意向とは無関係に、会社のルールとして要望が聞けないという背景もあるでしょう。
このタイプの設計者には、お客様は面会することができない場合もあると思います。
広告やブランドイメージで提示されたイメージの住まいが建つのであればそれで問題ない、感じのいい営業マンが担当につけば設計担当者とのコミュニケーションは不要、というお客様にはぴったりです。
④建築家タイプ
④は主張は強いが話は聞いてくれないタイプです。
昔ながらの建築家、といった印象ですね。意外と高名な建築家にはこのタイプは少ないです。
私が会ったことのある範囲で、ですが。
「この人の価値観で作られた家に住みたい!」というテーマであればぴったりです。
時には「住まい手は聞かれたことにのみ答えればよい」という雰囲気さえするかもしれません。
こういうタイプの設計者ほど、住まい手との感覚のズレを嫌いますので、「何回か面談したけどこっちから断っちゃったよ」というエピソードを懇親会で教えてくれます。
①マドリヤタイプ!
いよいよ①ですが、私はこのタイプの設計士の存在を世に知らしめたくてマドリヤという会社を始めたと言っても過言ではないです。
話をしっかり聞くが、主張もしっかりする設計士です。
「忍者屋敷みたいな家に住みたい」と言われたら、「ほうほうそれはどのような忍者屋敷ですかお客様?」と、お客様がイメージしている忍者屋敷を掘り下げて聞ける。
また、それを実際の住まいに落とし込んだ時にどういった設計が望ましいかを提案できる。
一つヒアリングしたら十の提案が生み出せる。お客様と対等な関係が結べる。
「お客様の場合ですと、そちらもよろしいですがこちらも同じぐらいアリだと思います。理由は…です。いかがですか?」という話し方ができる。
ご要望の完全な再現や、作り手の一方的な主張で家ができるなら簡単です。でも私たちはそれをしません。
設計者のタイプは業態とは無関係な場合も
最近は工務店さんの設計者の中にも④の方がいます(むしろ増えている感じもする)し、独立した設計事務所を営んでいるのに②のタイプの方もいます。
設計士の方とたくさん会話をして、どのタイプに該当するかを考えてみるのは有効な手法だと思います。
どのタイプが理想、ということはありません。
ご家族にとってどういうタイプの設計士であれば良い家ができそうかを判断なさるといいと思います。
家を実際に創るのは設計者です。よい設計者との出会いがありますようお祈りしております。
おちあい