寸法とコストについて
- Category:代表・落合のブログ
落合です。
日々、コストコントロールのために戦う日々です。
どんなビジネスも同じだと思うのですが、
原材料費、人件費が上がっているので提供価格は高騰していきますし、
生活費も一緒に上がってるので購入者のご予算も一緒にアップするわけではないという板挟みで日々痩せる思いです。
住宅を設計する場合は、おのずと設計する人間の手元で、頭蓋で、知恵でこのジレンマに対処していくしかないわけです。
(昨日今日にはじまったことではなく、マドリヤを作ってからずっとそうだった、とも言えます)
これから家を建てる方へのメッセージとして、
「コストのかかる寸法」
と、
「コストのかからない(かかりにくい)寸法」
という切り口でお話をしてみると参考になるしおもしろいかなと思います。
住まいづくりのコストダウン術5選、とかではないですが、重要だと思います。
①コストのかかる寸法というと、
・床面積
・フローリングの厚み
・カウンターの幅や長さ
といったものです。当たり前ですが、「大きいと高い」「小さいと安い」領域のものですね。
②コストのかからない寸法は、
・窓の取り付け高さ
・窓の位置
・コンセントの位置
あたりです。
これに加えて、(状況によりですが)
・天井の高さ
・部屋の縦横比
・外部との距離感
など、「空間の構造」はコストに影響しにくい領域です。
これらをうまくコントロールしてご予算に収めていくわけですが、
①は小さい・短い・少ないほうが安価という領域ですなので、同じ内容でも効率的に整理していくことで無駄をなくしていったり、お話をじっくり聞きながら優先順位の低い項目は捨てていくことになります。合理性、効率性で評価可能なのでだれでも点数がつけやすいです。
②は材料を料理する腕次第で価値が高まったり棄損されたりするような領域です。窓の配置で外部とのつながり(あるいは断絶)を表現したり、天井の高さで生活に合った居心地を調整したり。これは評価が難しいです。なにせ、「その場所でそのご家族がくらすのに必要なバランス(味付け)」が評価軸になるからです。

車でいうと①は馬力・燃費やトランクの容量、最小回転半径とか。カタログ値です。
②は「この車じゃなきゃダメな理由」とでも言えますかね。
素直なハンドリング、心地いいシフトチェンジ、この車にしかないカラーリングとか。
余談ですが、車を買い替えるために中古車をいろいろ見ていたのですが、サイドブレーキのレバーがいまだについている車って、いいなと思いました。それを使ってどうこうするということもないのですが。微妙に時代遅れな車と40代の自分を重ねて購入を決断する車っていいじゃないですか。あ、そうでもないですか。そうですか。
とにかく、いい家を予算内でコスパよく作ろうとする場合は、
①で効率的に設計をしつつ、②で自分たちにとっての価値を高めることを意識されるといいと思います。
この「自分たち(建て主)」にとっての価値というのが大変重要で、答えは建て主さんの中にあり、それを日々発掘していく必要があります。個人的な感覚ですが、多分、答えそのものはインスタでは見つけられません。
マドリヤでは①は徹底的に科学的・合理的に、②をじっくりとお話を聞きながら掘り下げる、というスタンスでどのメンバーも設計しています。
家づくりの何が楽しいって、②ですよ②。
「それなら、こういうのはどうですか?」「あ、こういうのいいですね」、と②の話が盛り上がるような家づくりはそれだけで成功の条件を満たしていますし、そういう気の合う設計者との出会いが本当に重要だと思います。
さりげない自社PRも完了したところで以上といたします。
マドリヤ落合